ロシア軍の侵攻開始からおよそ3カ月半。
ウクライナ東部では依然、激しい市街戦が続いている。
そうした中、ウクライナから隣国に避難していた人たちも、今、大きな岐路に立たされている。
ポーランドで支援する人たちへの援助打ち切りを前に、自立を目指すウクライナ人の母と娘を取材した。
街のあちらこちらから黒い煙が上がるウクライナ東部の要衝セベロドネツク。
ロシア側は、東部最後の拠点とされるこの都市の6月10日までの制圧を目指し戦力を投入してきたが、ウクライナ側の激しい抵抗が続いている。
地元の知事はSNSに、「ロシア軍は制圧の目標を10日から22日に延期した」との見方を投稿した。
ゼレンスキー大統領もSNSで、「ロシアはドンバス地方の全ての都市を破壊しようとしている。“全ての”というのは誇張ではない」と投稿した。
そうした中、国外に避難したウクライナ市民も今、大きな岐路に立たされている。
ウクライナ南部のヘルソンから母親と一緒にポーランドに避難しているマーシャ・アロネッツさん(10)。
マーシャさんは、ウクライナの大会で優勝経験もあるフィギュアスケートの選手。
3月下旬からポーランド北部の都市・トルンで、日本人の藤田泉さんの住宅に身を寄せている。
藤田泉さん「娘とも話し合って、家に受け入れようということになった」
藤田さんは、スケート靴を持ってこられなかったマーシャさんのために義援金を募り、新しい靴をプレゼントした。
ポーランドでは、ウクライナからの避難者に住居を提供する市民に、避難民1人あたり1日およそ1,200円を支給する支援策を行っている。
ところが、軍事侵攻からすでに100日が過ぎ、ポーランド政府は、120日以上は給付金を支給しないことを決めた。
この日、藤田さんの車にスーツケースや段ボールを載せるマーシャさん親子の姿が。
自立するため、アパートに引っ越すことを決めた。
新しい部屋に大喜びのマーシャさん。
一方、母・カティアさんは、「ここには長く住みたくない。早くウクライナに帰りたいです」と語った。
ヘルソンに残っている夫に電話し、引っ越しの報告をしたカティアさん。
カティアさんの夫「そういえば、ウクライナの通貨とロシア通貨の2つの値札が出されると聞いた」
カティアさん「ルーブルとフリブナでね」
ヘルソンはロシア軍に制圧され、急速にロシア化が進められているという。
カティアさん「家の窓がなくても、ウクライナに帰っている人もいます。しかし、わたしの故郷は占領されていて、住民は出ることも入ることもできません。いまの予定は生き残ること、そして生き延びるための仕事を見つけることです」
帰国するか、それとも避難先で自立するか。
二者択一が迫られているウクライナの避難民。
故郷で安全に暮らせる日は、いつになるのだろうか。
FNNプライムオンライン
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