長谷部恭男 東京大学教授 2014.3.28

Yasuo Hasebe, Professor, University of Tokyo
集団的自衛権を考える研究会の4回目。「憲法解釈の変更と集団的自衛権」と題して、長谷部恭男・東京大学教授が話し、記者の質問に答えた。
司会 星浩 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2014/03/r00026944/

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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2014年4月号に掲載)

安倍流解釈改憲は「自己破壊的」と警告

「憲法原理は国家の生き死にに関わることなので、そうそう変えてはいけない」。最も言いたかったのはここだろう。

安倍政権が推し進める集団的自衛権行使容認の問題点を、難解な語り口ながら鋭く批判した。

憲法解釈の変更で何が得られるのか。「その時々の政府の判断で憲法解釈が変えられるようになれば、後の政府の判断で元に戻るかもしれない」

そうした不安定さを「自己破壊的」と呼び、「政府の憲法解釈全体の将来を危うくしかねない」と警告した。批判は自民党首脳が最高裁の砂川判決をもとに言い出した「限定容認論」にも及ぶ。「素直にみれば、判決は個別的自衛権の話をしたもの」とあっさり切り捨てた。

矛先は安倍政権の安全保障政策にも。「自由で民主的な政治体制という普遍的価値を米国と守るのが肝心。日本がナショナリズムにかじを切れば、米国との信頼関係を損なう。何のための集団的自衛権なのか」と疑問を呈した。
 昨年の国会で特定秘密保護法に賛成の意見を述べた長谷部氏だが、こと安倍流の解釈改憲に関する限り舌鋒は容赦なく、痛快でさえあった。

朝日新聞専門記者(防衛問題)
谷田 邦一