アメリカ5000km縦断で見えた有権者の“本音”(2020年11月3日)

3日に投票日を迎えた大統領選挙をめぐり、1カ月かけてアメリカを縦断しながら、取材を続けているジャーナリストがいます。ジャーナリスト・村山祐介さんは、民主党候補・バイデン氏が生まれ育ったペンシルベニアから、共和党候補・トランプ氏が主な居住地を移したフロリダまで、車で5000キロ移動し、100人以上を取材しました。

ジャーナリスト・村山祐介さん:「アメリカ北東部ペンシルベニア州にあるスクラントン郊外に来ています。こちらの家がバイデン候補が生まれ育って、10歳まで過ごした家です。私は今回の取材で、ここから、トランプ氏が所有するマイアミのマールアラーゴという高級ホテルまで南下する形で、アメリカ人が今、何を考えているか探っていきたいと思っています」

さびれた工業地帯“ラストベルト”と呼ばれる地帯にあるペンシルベニア州は、トランプ大統領誕生に大きく貢献した州です。ただ、前回のように、すんなりとはいきそうにありません。

ペンシルベニア州“バイデン支持”元バス運転手(78):「前回はトランプに入れたが、今回は絶対にバイデンだ。トランプは国のためにならない」「(Q.なぜ?)国のひどい状況をみればわかるだろ」

ペンシルベニア州“悩み中”共和党員(31):「登録は共和党ですが、まだ決めていません。49(トランプ)対51(バイデン)で悩んでます。今は非常に混乱していますが、いずれ希望が見えてくるでしょう」

ペンシルベニア州“トランプ支持”元事務経営(65):「このあたりではトランプの評判はいまいちです。私のようなトランプ支持者は、周りからの反発を恐れて取材に答えません」

一方で岩盤支持層は健在です。

ペンシルベニア州“トランプ支持”国連機関の元大使(70):「バイデンとハリスが体現するのは、人工妊娠中絶だけでなく、憲法や法規の拒絶という民主党の主張そのものです。愛国者は民主党に反対です。世論調査には反映されないが、心の中では反対なのです」

ペンシルベニア州“トランプ支持”トラック技術者(62):「在イスラエル大使館の移転など99%の公約が実現している。あと4年はやってもらわないと」

陰謀論を唱える『Qアノン』を信じる人もいます。

ペンシルベニア州“トランプ支持”Qアノンを信じる主婦(52):「大手メディア6社が午前4時の打ち合わせで『きょう流すニュースはこれ』と話し合ってる。大統領こそ真のジャーナリズム、事実、真実を求めているのです」

今も支持者の多くがトランプ大統領に求めているのは、古き良きアメリカへの郷愁です。

ジョージア州“トランプ支持”造園業(76):「(Q.古き良きアメリカとは?)俺が育った40年代、50年代は家に鍵をかけないくらい安全だった。Make America Great Againは、我々が育った価値観を取り戻すことだ。人に敬意を示して、もっと節度があり、聖書に親しんでいた」

ジョージア州“トランプ支持”元薬剤師(70):「第2次世界大戦後、誰も自分が急進派とかリベラル派とか言わなかったし、人々はより協力し合っていた。60年代にベトナム反戦運動が始まり、国民の間で意見の衝突があった。彼はその前に戻そうとしていると思う」

「昔はよかった」その想いはバイデン候補に投票した人にもあります。

ジョージア州“バイデン支持”不動産業(56):「本当はオバマがいい。私のお気に入りはオバマ、レーガン、それにカーター。今回はミッキーマウスへの投票でもよかった」

今回の選挙には、1997年以降に生まれたいわゆる“Z世代”が初参加します。Z世代は、アメリカの人口の4分の1を占め、次世代の主流になっていく人たちです。

バージニア州“棄権”リバティ大生(19):「投票はしません。アメリカに生まれ恵まれていますが、愛国心より信仰心のほうが大事です」

ノースカロライナ州“バイデン支持”ノースカロライナ大生(21):「大統領選の出馬制限に上限を設けるべき。35歳以上という制限があるのだから、上限は70歳などにしないと不公平。だから、どちらの候補者に対しても投票をためらっている。彼らは私たちと全然違う世代。若い黒人女性の苦労や気持ちは全然わからないでしょう」

ノースカロライナ州“棄権”ノースカロライナ大生(24):「僕たちと違う時代を生きてきた70代がいる限り、僕たちの意見と対立してしまう。今回はどちらにも投票しないことに決めました。2人ともアメリカが進むべき道を体現していないと思ったからです。バイデン氏の方がマシですが、国民は長年、消去法で選んできました。
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