孫崎享氏:オバマの尖閣発言は日本の外交勝利と言えるのか

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ニュース・コメンタリー (2014年04月26日)
オバマの尖閣発言は日本の外交勝利と言えるのか
インタビュー:孫崎享氏(元外務省国際情報局長)
 国賓として来日中のオバマ大統領が4月24日の安倍晋三首相との首脳会談の場で、日中間で緊張が高まっている尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であることを明言したことについて、日本では外交上の大きな成果だったとの評価が広く喧伝されている。
 米政府のそうした立場はこれまでも閣僚レベルでは確認されていたものだが、何と言っても大統領自身がそのことに言及したことに一定の政治的な意味があることは確かかもしれない。
 しかし、この発言を「尖閣でいざ中国が武力に訴えてきた場合、米軍が出動して守ってくれる」という意味で受け止めたとすれば、それは安直に過ぎると言わざるを得ない。
 首脳会談後に安倍首相と並んでのぞんだ記者会見でオバマ氏は「日本の施政下にある領域は、尖閣諸島も含め日米安全保障の適用対象になる」と述べた。また、共同声明にも同様の文言が含まれている。しかし、この文面は実は日米安保条約の5条をそのまま読み上げたに過ぎない。
 日米安保条約の第5条にはこう書かれている。

第5条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 (後略)

 今回のオバマ訪日で、アメリカの対東アジア外交がこれまでの日本一辺倒から、より中国に配慮した外交スタンスにシフトしていることが明確になったと指摘する元外務省国際情報局長で外交評論家の孫崎享氏は、特にこの条文の中の「日本の施政権の下にある」の部分「自国の憲法に従って」の二ヵ所の重要性を指摘する・・・・。