高齢者が怒りやすくなる理由、陰謀論を信じやすい理由

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00:00 OP
01:21 怒る時
04:42 病気が隠れていることもある
08:13 陰謀論がハマりやすい
10:13 自傷他害が激しい時

本日は「高齢になると怒りやすくなる理由」というテーマでお話ししようと思います。

動画の後半では、加えて陰謀論にだまされやすくなる理由、陰謀論にだまされているんじゃないかと周りの人が思ってしまう理由を解説しようと思います。

最初に触れておかなければいけないのは、すべての高齢者が怒りやすくなるわけじゃないんですね。
ただ、一部の人はそういう傾向が見られるということです。
一般的には年を取ると知恵が身についてくる、いろいろな経験をしてくるので、ちょっとやそっとのことでは動じない。
「ああ、あのときもあったねえ」とか言ってにこにこしていられるのが、高齢者のイメージだったりするのかもしれないですけど。

でも実際はやはり怒りっぽかったり、気難しい人がいたり、人によっては老害と呼ばれてしまうこともあったりします。

今回は、高齢者の一部ですけど怒りやすくなっている人たちのことを解説しようと思います。

■怒る時

まず、どういう時に怒りやすくなるかということですよね。
怒る時ってどういう時でしょうか?

怒る時は何かと言うと、一つは疲労状態の時。心身疲労している時には怒りっぽいんですよ。
それは若い人でも誰でもそうですよね。疲れている時は怒りっぽいんですよ。

あとは自分が正しいと思っている時。
自分が正しくて相手が間違っている時には怒りっぽいんですよね。
視野が固まっていますからね。他のところに目線が行っていない時は怒りっぽかったりします。

あとは立場が上の時。
自分の方が立場が上、上司だとかお金持ちだとか、俺は客だとか、そいう時は怒りやすいんですよ。
同じ失礼なことをされても上司には怒らないですよね。社長とかには。
だけど部下にやられたりすると腹が立つわけですよね。まあそういうことです。

なので高齢者というのは、そういう怒りっぽい条件が重なることが多いんですよね。

まず最初に言った、心身の疲労状態の時には怒りっぽいよと。
高齢になると体力が低下していきますよね。だから疲れやすい。
そして認知機能も落ちてくるんですよね。物事を認識したりとか、その意味を見いだしたり、何か新しい情報が来た時にそれを解決していく力。
あとは前頭葉と呼ばれる、いわゆる理性と呼ばれるところの力も落ちてくるので、感情がバッと湧き上がった時にそれを押さえる力も弱かったりします。
対応力低下と書いていますけどね。

加えてトラブルの数だけ多いんですよ。責任も増えていきますしね。
友達が亡くなることも多いですし、自分の病気が見つかることも多かったりするので、心身のトラブルだったり、身近な人とかのトラブルも多かったりします。

なので心身が疲労状態となり、ストレスが溜まって怒ってしまうとか、悲しむとかうつ状態になることはよくあるなと思います。

さっき言った通り、新しい情報を吸収して脳内でリデザインしてその意味を解釈する力が落ちてくるんですよね。

前頭葉の機能が落ちてくるので、新しい意味を見出したり、物事と物事をくっつけて新しく認知を変えていく力が落ちてくるので、固定観念に縛られて自分が正しいんだと思いがちになっちゃう。

あとは立場が上の人は怒りやすいと言いますけど、実際立場が上ですから、高齢者の人は。
日本は儒教の国なので、年上の人を敬う文化がありますから、そういう中ではやはり自分が立場が上だと思うと、ついつい頭に来やすいというのはあったりするなと思います。

だから、いろいろな条件が重なって怒りっぽくなっているということです。

■病気が隠れていることもある

病気が隠れていることもあるんですね。

例えば、認知症や認知症の前駆症状と呼ばれる時には怒りっぽかったりします。
認知機能が落ちてくると、先程言った通り、ストレスを感じやすくて怒ったり悲しんだりうつになりやすかったりするので、怒りっぽくなるよというのがあります。

いわゆる血管型とか、アルツハイマー型とか言われるような一般的な認知症だけじゃなくて、特殊な認知症のタイプもあるんですよ。
例えば、レビー小体型認知症と呼ばれるようなものは幻視が見えたりするし、前頭側頭型認知症というのは特に記憶よりも先に前頭葉とか側頭葉、言葉を使う部分ですけども、前頭葉が理性的な部分、側頭葉は言葉を司る部分なんですけれども、そこの認知機能が先に落ちてしまうので、自分のルール通りにやれないと腹が立ってしまったり、怒りっぽくなってしまうのもあります。

あとは年を取ってから統合失調症を発症してしまう。「遅発パラフレニー」という病気もあったりします。
この場合は、幻覚妄想に支配されているので、怒りっぽいということですよね。
近所の人が悪口を言っているとか、近所の人が私たちのゴミを拾って持って行っているとか、物を盗んでいるとか、そういう妄想を持ったりします。

あとは珍しいですけれども、うつ病とか躁うつ病の発症ですね。
うつ状態、うつ病になって不安や焦燥感から怒りっぽいとか。
躁うつ病の躁状態みたいなものになって躁転して怒りっぽくなるとか、多弁になって怒りっぽくなるとかもあったりするかなと思います。

あとは年をとってから病気が見つかるパターンもあります。
発達障害は最近の病気なので、昔は診断されなかったけれども、年を取ってから診断されるケースも珍しくないなと思います。
発達障害の人は自分のこだわりがあるので、こだわりを崩されると怒ってしまうとか。そういう感じですね。

こういう場合は治療によって怒りっぽさを軽減したりするということになります。
でもなかなか家族の人は、母親が父親が調子悪くなってきたし怒りっぽくなってきたから相談したいなとか受診させたいなと思うんだけれども、なかなか行けないんですよね。

偏見があったりするので、「私を病人扱いするのか」みたいな感じにお父さんとかお母さんに言われたりして、うーんと悩んでいる人も多いと思いますね。
そもそも怒りっぽい人に対して行きなさいと言ったら怒っちゃうから連れていけないんですけど。

まずアドバイスとしては、よく言われるのは「精神科」と言うとちょっとイメージが悪いので、「心療内科に」とか「メンタルヘルス科に」とか言葉を変えてあげるとか。
あとは保健所に相談してみるのもいいかなと思います。
家族相談してみるとか良いと思いますね。

高齢になると怒りやすくなる理由が、こういう感じです。

■陰謀論がハマりやすい

怒りやすかったり悲しんだりうつっぽくなっているから、そこに陰謀論がハマりやすいんですよね。
付け入られやすいんですよ。

怒っているということはやっぱり苦しいんだよね。苦しいから怒っている。
苦しい時は何かにすがりたくなってしまう。そうすると、自分にとって都合が良かったり、耳障りの良い言葉だったりとか、複雑じゃなくて単純なものを好み、そこにすがってしまったりする。
だから陰謀論を信じやすくなったりします。

加えて陰謀論のように見えて、精神疾患の症状が陰謀論に見えてしまうこともあるんですよ。
例えば幻視ですね。レビー小体型認知症が持つ症状の一つである幻視ですね。

部屋に子供が来ているとか言った時に、これは妖精なんだと言ってる時に陰謀論を信じたのかもしれないと思うかもしれないけど、実は幻視だったとかですね。

毎日あんパンしか食べないとか、朝はあんパンだと決めたらそれを変えられないとか、毎日納豆だと決めたらそれを変えられない時に、それは陰謀論というか何かを信じているんじゃないかと思うかもしれないけど、実はこの前頭側頭型の認知症の症状で、こだわりを変えられないとか。
酷いことされているんだとか、日本政府からやられているんだ、日本政府からハッキングされているんだとか言った時に、それは陰謀論ではなくて、被害妄想だったりするかもしれない。

何か変な音が聞こえるだろうとか、この電子音は耳鳴りの音に聞こえるかもしれないけど、これはハッキングの音なんだとか言ったりすると、これは陰謀論じゃなくて幻聴だったりね。
あとは「俺はすごいことができるようになったんだ」「俺は天才なんだ」と言い出したら、陰謀論じゃなくて躁うつ病の躁状態だったりするという感じです。

弱っているから陰謀論に付け込まれているパターンもあれば、一見陰謀論に見えるけれど、精神科の症状の時もありますよ、ということですね。
そういう場合は相談という感じですね。

■自傷他害が激しい場合

自傷他害が激しい場合、自分は攻撃をされてるんだという時に、ご近所トラブルが増えた場合は、警察に相談するのもいいし、保健所に相談するのもいいですね。
場合によっては強制入院をすることで治療していくのも必要な場合もあったりしますね。
これは医師の診断が必要なので、どうにか連れていくというのも大事だし、連れていけないんだったら保健所とか警察に相談するのもありです。

実際、暴れている現場の時にはすぐ警察を呼んでください。
警察を呼んだ場合、自傷他害の恐れがある場合は措置入院という形で警察官の通報から強制的な入院ができます。これを措置入院と言うのですが、それができますから、そういう形でなかなか連れて行けなかった場合は医療につなぐケースも珍しくないです。

警察官が措置入院という制度を知らない時もあるんですよ。
若い警察官は知らないこともあるので、「措置入院にさせてください。通報してください」と警察官の人に言って説明すると動いてくれることもあります。
警察官は時々怖い時はありますけど、きちんと説明するとやってくれますから、そういうことをしてもらうといいんじゃないかなと思います。

今回は、高齢になると怒りやすくなる理由及び、後半では陰謀論を信じやすくなる理由というテーマでお話ししました。

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