20130828 UPLAN【無茶苦茶な政府交渉】原発輸出への不透明な税金投入を問う

【FoE Japan】
ベトナムの中南部で建設が予定されているニントゥアン省第二原発。日本が正式受注をめざし、準備を進めています。
事業計画策定の基礎となる実現可能性調査(以下F/S)は、私たちの税金を使って日本原子力発電(以下、日本原電)が実施、調査はすでに終了していますが、何を調査したのか?どのような調査結果だったのか?調査結果は妥当なのか?―私たちNGOや国会議員の再三の要請にも関わらず未だに調査報告書は公開されておらず、納税者が知ることも、専門家が検証することもできません。
現時点で このF/Sに費やされた総額は、約25億円、次の2つの予算から支出されています。
1)経済産業省 2009年度低炭素発電産業国際展開調査事業:19億9,900万円
2)経済産業省 2001年度インフラシステム輸出促進調査事業の一部調査:5億円(随意契約)昨年10月には、2)の5億円に復興予算が流用されていたことが発覚しました。
>「震災復興予算 原発輸出調査にも流用」(東京新聞 2012年10月20日)
通常のODAなどで支援される道路・橋・発電所などの大規模インフラのF/Sは、数億円規模です。25億円を費やして一体なにを調査しているのでしょうか?
経済産業省に調査項目を質問したところ、1)の約20億円は、「エネルギー市場分析、電力系統分析、経済性評価、財務分析 等」、2)の5億円は、「敷地周辺調査(陸域、海域)、敷地内地質調査 等」という回答でした。
この回答が正しいとすると、おかしな点があります。まず、「エネルギー市場分析、電力系統分析、経済性評価、財務分析」に20億円もかかるのかという疑問があります。
また当初の調査計画には、サイト調査と評価(敷地周辺地質調査、海域地質調査、海域測量調査、地質・地形調査、津波及び潮位評価、気象観測データ整理・分析、環境影響調査、排出水拡散予測・解析)なども含まれていました。>http://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/review_sheet/0218.pdf
これはいったいどういうことなのでしょうか?
当初計画されていた調査はなんらかの事情で実施されておらず、追加資金が必要になり、復興予算5億円が流用されたという疑いが生じます。
いずれにしても20億円の税金が何に使われたのか、経済産業省/日本原電は説明責任を果たすべきでしょう。
また、調査報告書を公開し、現地住民や日越の両国民が同事業に関する情報にアクセスでき、第三者の専門家が検証可能な状態にすべきです。
なお、日本原電は、最近、原発輸出の候補とされているトルコでも建設予定地の地層調査を受注しています。>http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1307/130719a/130719a.htm
同社が有する敦賀原発については、専門家からずっと活断層の存在が指摘されつづけてきました。原子力安全保安院の意見聴取会の委員の今泉俊文東北大教授は「典型的な活断層」「よく審査を通ったなとあきれている」などと批判しています。
原子力安全保安院の意見聴取会では、多くの委員が活断層の可能性が高いとしました。その後、原子力規制委員会も活断層の存在を認定。日本原電はこれに異議申し立てを行い、新たな調査を実施しています。
このたび、問題を指摘し続けてきたNGO3団体―FoE Japan、環境持続性社会研究センター(JACSES)、メコン・ウォッチは、経済産業省に会合を申し込みました。